歳時記

説教に、子供たちの逆襲

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 稽古中におしゃべりする子が多くなってきたので、昨日、稽古が始まる前に注意することにした。
 おしゃべりは注意力が散漫になって、稽古のさまたげになるからだ。
 で、子供たちにどう話しをするか。
「しゃべってはいけない!」
 と叱るのは簡単だが、それではなぜ私語がいけないのか、子供たちにはよく理解できないだろう。
 そこで、携帯電話を例に引くことにした。
 クルマを運転中の携帯電話がなぜ違反であるかを例に引き、「注意力散漫」に話をもっていこうとしたのである。
 全員を正座させて、私が切り出した。
「エー、クルマを運転中に、どうして携帯電話で話しをしてはいけないか、わかる人!」
 誰も手を挙げない。
 子供たちは顔を見合わせながら、ザワついている。
 やおら一人が、私を諭すように言った。
「館長、運転しながら携帯電話で話しをしてもいいんだよ」
 これには私が驚いて、
「何を言うんだ。話してはいかんのだ」
 あわてて言うと、子供たちは口々に、
「いいんだよ」
「そうだよ」
「みんな運転しながら話してるもん」
「館長、知らないの?」
 私はタジタジとなり、ついぞ「おしゃべり」と「注意力散漫」について話をすることができなかった次第。
 大人は子供の見本である、などと青臭いことは言うまい。
 
 ただ、「子供は大人たちを見ている」ということだけは忘れてはなるまいと、私は自分に言い聞かせたのである。

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