歳時記

「サミット」と「出会い系サイト」

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 今朝5時。
 徹夜である。
 畑に行くべく身支度を終えてから、隣室の女房を叩き起こし、階下の親父の部屋を開けて、
「行くぞ!」
 と言ったら、
「雨じゃ」
 ノンキな声で言った。
「何ィーッ! さっき窓から見たが、降っとらんかったぞ」
「いま降り始めたんじゃ」
「そんな……」
「ちょっと、ちゃんと確かめてから起こしてよね」
 女房が険しい顔で言うと、寝室へと階段を上がっていった。
 で、朝風呂に入り、いまブログを書き始めて、今日が七夕であり、サミット初日であることに気がついた。
 サミットが世界平和にとって、どれほどの意味を持つのか知らないが、先進国首脳が集まって「顔を合わせる」という行為は考えさせられるものがある。
 つまりインターネットの時代に、なぜ厳戒態勢を敷いてまで顔を合わせて話をしなくてはならないのか、ということである。
 当初はたぶん、先進国グループによるデモンストレーション的な要素が強かったのだろう。
 ところが、南北問題や北朝鮮の核問題、食料危機、地球温暖化など、マジに話し合わなければならないテーマが山積するようになり、サミットは重要なトップ会議になった。
 で、なぜ実際に顔を合わせて話し合わなければならないのか。
 たかだか8カ国。主張と意見の交換であれば、インターネットで事足りるはずだが、そうしないのは、顔を合わせることによって、表情や仕草から、お互いの〝ホンネ〟がわかりあえるからではないか。あるいは「真意を探る」と言ってもいい。
 要するに「阿吽(あうん)の呼吸」というやつで、こいつばかりはテレビ電話やメールでは不可能なのだ。
 言い換えれば、サミットはそれだけテーマが複雑で、難易度が高いということでもある。
 で、唐突に、徹夜明けの頭に出会い系サイトのことが思い浮かんでくる。
 メールのやりとりだけで、いとも簡単にデートに至るということは、男女の機微に複雑な駆け引きは不要ということなのだろう。だからナニに至る難易度は〝チョー低い〟ということになる。
 となれば、仕事もしかり。
 顔を合わすことなくメールですませられるというのは、バリバリ仕事をこなしているように見えて、その実、中身は〝お易(やす)い仕事〟ということになる。
 かく言う私も、原稿のやりとりはメールである。
(だから〝お易い〟のかもしれないな)
 サミットから発した思いは、妙なところに着地して、複雑な気分になったという次第。

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