福田政権の支持率が20パーセントを割り、いよいよ自民党はヤバくなった。
道路財源のデタラメ、年金のグチャグチャ、そして医療費を上げ、ついでに物価まで上げた。これだけ住みにくい世の中にしたのだから、自民党がヤバくなるのは当然だろう。
で、政界再編成の動き。
(ウーム。いよいよ日本も変わるのか……)
健康ランドのサウナ室でテレビニュースを見ながら、私は腕を組んで唸った。
唸って、ふと考えた。
(住みにくい世の中にした責任は誰が取るんだ?)
むろん、自民党の政治家である。
ところが政界再編成になったら、どうなるのか?
政界再編成と言えば聞こえがいが、要するに、沈没しかけた〝自民党丸〟からスタコラさっさと逃げ出し、別の船に乗り換えることを言う。
〝自民党丸〟は沈没するが、責任をとるべき乗組員はちゃっかり別の船に乗り移って、
「ヨーソロー! 面舵いっぱい!」
〝自民党丸〟を沈没させたことは頬っかむりして、またぞろ操船するのである。
責任を誰も取らない――これが、政界再編成。
だが、それで世の中は通るのだ。
「おまえ、元自民党だろ!」
と非難はされない。
これが、組織に属して世渡りする人間の強みで、組織という衣(ころも)を着替えさえすれば、大手を振って歩いていけるのだ。
たとえば、かの〝マダム寿司〟の小池百合子女史。「タレ目のパンダちゃん」なんて失礼なことを言う人もいるが、どうしてどうして。日本新党を振り出しに新進党、自由党、保守党、自民党と衣を〝着替え〟つつ、とうとう次期総理候補にまでなった。
あるいは、民主党の小沢のイッちゃんだってそうだ。いずれ総理になると言われたバリバリの自民党議員だったが、その過去を咎める者はいない。
「組織を変われば評判も変わる」――これが組織人である。
ところが、私たち「個人」は違う。
いったんレッテルを張られると、それは容易には剥がれない。
「カッコつけてるけど、あいつは不良で鼻つまみ者だったんだ」
過去の悪評は延々とついてまわるのだ。
ならば、どうすれはいいか。
過去を隠さない。
積極的にさらすのだ。
たとえば、元ヤンキーであることを積極的にアピールすることで、議員になった人間もいる。「元ヤンキー」という肩書きがなければ、世間から注目されることはなかったろう。
こんな例はいくらでもある。
ネガティブな過去は、隠そうとするとスキャンダルになり、積極的に吹聴すれば勲章になるのだ。
人間とは、なんと面白い生き物だろう。
政界再編を話題にしたニュースをサウナ室で見ながら、そんなことを考えた次第。
ネガティブな過去は吹聴すべし
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