歳時記

プロの力量は〝手際〟にあり

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 昨日は、講談社「KING」誌の取材があった。
「お金」をテーマにした〝自己演出術〟だ。
 演出の要諦を一言でいえば、
「小金(こがね)はケチるな、大金(おおがね)はケチれ」
 ということになろうか。
 小金をケチって評価を下げないのは、誰もが「あの人はお金持ち」と認めている人間だけで、我ら〝非お金持ち〟が小金――たとえばお茶代をケチれば、〝非お金持ち〟であるがゆえに、
「しみったれ」
 と思われるのである。
 それはさておき、昨日の取材者は女性編集者で、これがなかなか優秀な人だった。
 何が優秀かと言うと、インタビューを「一問一答」で進行しないことだ。
 私も取材記者の経験が長く、また現在は逆に取材を受けることが多くなったが、優秀な記者は「一問一答」をしない。
 会話――すなわちキャッチボールをするのだ。
 質問されて答えるのてはなく、会話のキャッチボールが結果として取材になっている。
 だから楽しく、いろんな話をすることになる次第。
 またカメラマンも優秀だった。
 写真は道場で撮ったが、インタビューの最中に照明などスタンバイを終え、構図も決めていて、ノートパソコンをモニターとして使い、実に手際がいいのである。
 この日のインタビュアーもそうだったが、プロのプロたるユエンは「手際のよさ」にある。
 板前さんの包丁捌きは、見ているだけで気持ちがいいが、それがどういう仕事であれ、プロとしての力量は「手際の巧拙」で決まるのだ。
「あの仕事、どうなっている?」
「終わっています」
 こうでなくてはならないのだ。

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