歳時記

〝宝の山〟は足下にあり

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 80歳を迎えた師匠が、私に言った。
「人生なんて、過ぎてみればあっという間だな」
 知人が、私に言った。
「もう10歳若かったら――とね。つくづく思うんだ」
 知人は86歳だ。
 55歳の私が、青年に言う。
「いいね、若いってことは。何だってできるじゃないか」
 その青年が、高校生にこぼしていた。
「オレ、あと3年で30歳だぜ。いいよな、おまえら」
 他人から見れば、自分が宝の山に寝ていることに気がつかないで、私たちは溜息ばかりついている。モッタイナイという言葉がはやっているが、本当にモッタイナイのは、私たちが「自分の人生」に気がつかないことかもかもしれない。

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