歳時記

子供を見て、法を説く

投稿日:

「人に迷惑をかけてはいけない」
 と、道場で子供たちによく言う。
「自分が怠けて稽古しないのはいいが、人の邪魔をするな、人に迷惑をかけるな」
 というわけである。
 しかし、浄土真宗では、
「人間は、迷惑をかけずして生きていくことのできない存在である」
 と教える。
「それほどに人間は救いがたい存在である」
 ということに気づくことが大事と教える。
 つまり、このことに気づけば、
「おかげさまで」
 と、生かされていることへの感謝の心が芽生えてくるというわけだ。
 さて、そこで困ったことになる。
「人に迷惑をかけてはいけない」
 と道場で教えることと矛盾する。
 だが、小学校の〝可愛い悪ガキども〟に、
「人間は、迷惑をかけずして生きていくことのできない存在である」
 と、教えたらどうなるか。
「ワーイ!」
 大喜びで騒ぐだろう。
「人を見て法を説け」
 とは、なるほどお釈迦さんは、いいことをおっしゃるではないか。

-歳時記

Copyright© 日日是耕日 , 2024 All Rights Reserved.