愚妻は3ヶ月に1度、術後の診察に病院に行っている。
一昨日が、その日で、診察は午後から。
午前中の法事をすませると急いで帰宅し、愚妻を病院に連れて行くが、感謝の念は微塵もなし。
診察は異常なしで結構なことだったが、医者がパソコン画面で折れ線グラフを見ながら、
「少し貧血がありますね」
この言葉に、
「そうですかねぇ。フラつくこともないんですが」
愚妻が不満そうに言うと、
「貧血というと、みなさんは血の量がが多い少ないのことだと思うでしょうが、私たちがいう貧血は血の濃さのことです」
医者にたしなめられておとなしくはなったが、
「体調にお変わりはありませんか」
と問われて、
「ハイ、元気です。前にも増してすこぶる元気です!」
愚かにも、得意げに大きな声で返事をしていた。
それでも貧血が気になるようで、帰宅すると、
「鳥のレバーが貧血にいいから、ちょっと行って買ってくるわ」
そそくさとスーパーに出かけたが、
「鳥のレバーがないのよね。仕方ないから豚のレバーを買ってきたわ」
このあたり、応用がきくというのか、アバウトなのだ。
だが、プラシーボ効果ということもある。
「レバーは豚のほうがいいのだ」
私が断言してやる。
「あっ、そうなの?」
「そうだ。鳥は2本足、ブタは4本足。したがって、豚のレバーは鳥の2倍の栄養価があるということになる」
「ウソつき!」
たしかに前にも増してすこぶる元気なのだ。