歳時記

愚妻が沖縄から電話

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 愚妻が、娘夫婦一家と、沖縄へ旅行中である。
 5日に帰ってくる予定だが、沖縄は台風だ。
 で、昨夕、愚妻から電話。
「飛行機が飛ばないかもしれないから、帰るのは無理かも」
 明るい声で言う。
「喜んでおるのか」
「そんなことないわよ」
「声が弾んでおる」
「弾んでなんかいないわよ」
「バカ者。声が弾んでいるかどうかは、おぬしが決めるのではなく、聞き手である、このわしが決めることだ」
「ごちゃごちゃ言ってないで、そういうことですからね」
 プチッ、と携帯電話が切れた。
 原稿の〆切に追われ、道場の稽古、ヨロヨロしている駄犬〝マック爺さん〟の世話、果てまた〝映芳爺さん〟が、
「そろそろ畑を耕さんにゃ、いけんのう」
 と言い出した。
 明日の午前中は、埼玉の坂戸支部からスリランカ人の青年が道場に稽古にやってくるし、日曜日は横浜支部へ指導に行く。
 私がこんなに忙しくしているのに、愚妻はノンキなものではないか。
 本日は一冊脱稿するので、終わったらスーパー銭湯に行こう。
 南国リゾートというわけにはいかないが、それでも、いまの私とってスーパー銭湯の湯船は、まさに極楽なのである。

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