歳時記

晴れたら着物の出番

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晴天である。
日帰り温泉の露天風呂は、太陽が目にチカチカで、ジリジリと頭皮を焦がす。

それでも湯船にさしかかる頭上の青葉と風が実に気持ちよく、
「コロナも遠くになりにけり」
といった今朝の気分である。

晴れたら、着物の出番である。
毎日のことなので、長襦袢を着ると洗濯が手間になって愚妻が怒るだろうから、夏は長襦袢を避け、腰巻きに半襦袢かTシャツを着用する。
腰巻きをするのは、夏は薄物なので、下着が透けて見えるからである。

だが、男物の腰巻きは意外にいい値段がする。

で、先月。
(女物の腰巻きはどうか?)
唐突に閃いた。

ネットで調べると、腰巻きとシャツと上下が一体になったものもある。
しかも安い。
白色なので、男も女もあるまい。
これはいいではいか。

さっそく2枚買った。
買ってみて気がついたが、女物なので上衣(シャツ)の衣紋が大きく抜けているのだ(首の後ろ部分が大胆にくれている)。

女性と違って、男は衣紋を抜かないため、これが着ていて実に具合が悪い。

だが、それを口にしたのでは、
「勝手に買うからでしょ!」
愚妻が目を吊り上げるのがわかっているので、
「おお、実にいいぞ」
呵々大笑してみせた次第。

で、今日はそれを着物の下に着て、日傘を差して道場の仕事部屋へ出かけた。
わずかに3分の距離。
道場に着いたら、仕事しやすいように作務衣に着替える。

そのことを知る愚妻は、
「バカみたい」
玄関先で私の背に浴びせた。

だが、コロナで、どこへも出かける用事がないのだ。
「コロナも遠くになりにけり」
と今朝の湯船で思ったが、考えてみれば、ちっとも遠くにはなっていないことに、着物を着てみて気がついたのである。

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