歳時記

政治家は、落選すればタダの人

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 今日のニュースは、朝から夜中まで自民党総裁選一色である。
 家で女房と晩飯を食べながら、新総裁となった麻生太郎氏のインタビューをテレビで見ていると、
「地方を遊説してみて、不景気であることを実感しました」
 確信に満ちた麻生新総裁の口調に、女房はア然として、
「この人、不景気だってこと知らなかったのかしら」
 太田農水相が事故米の責任を頬っかむりして〝敵前逃亡〟したかと思えば、舛添厚労相が突如、後期高齢者医療制度の見直しを言い出した。
 言うまでもなく、選挙対策である。
 恥も外聞もかなぐり捨てるほどに、選挙は怖いものなのだ。
 私はかつて『政治家の実戦心理術』(KKベスト)という本を書いたことがある。いまから6年前、2002年5月の刊行で、小泉旋風の時代。田中眞紀子、辻本清美といった女性議員が活躍した時代である。
「まえがき」に、私は以下のように書いた。
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 政治家は、選挙に落選すれば、ただの人である。
 言い換えれば、当選しさえすれば、〝ただの人〟でも政治家になれるのだ。
 ここに、政治家の本質がある。
 だから、選挙、命(いのち)。
「ほな、一票入れたろやないか」
 と、いかに有権者に思わせることができるか。このパフォーマンスに、政治家は全人生を賭けるのである。
「ソーリ! ソーリ! ソーリ!」
 と、噛みつくもよし、
「構造改革なくして、経済成長なし!」
 と、煽(あお)るもよし、
「スカートを踏まれた」
 と、ダダをこねるもよし、
「私の人生を顧(かえり)みますれば」
 と、落涙するもよし。
 さらに詭弁、甘言、嘘、恫喝、裏切り、マッチ・ポンプと、何でもあり。常に「自分は正しい」というスタンスに立ち、ホンネと建前とでキャッチボールをさせながら選挙区という縄張りを守る手法は、まさにヤクザ界と同じなのである。(以下、略)
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 この視点から議員たちの発言や行動を見れば、彼らのホンネは一目瞭然だろう。
 サルは木から落ちてもサルだが、政治家は落選すればタダの人なのである。
 

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