歳時記

トイレの間違い。

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 昨夜は、築地本願寺の『銀座サロン』に出講した。
 わざわざ足を運んでいただき、それに見合う話ができるのか、講演をするときはいつも気になる。
 それと、もう一つ。
 出講者が時間に遅れてたのでは切腹ものなので、途中、電車がアクシデンで止まっても、迂回ルートで間に合う時間の余裕を見ていく。
 銀座なら、会場入り時間の1時間前に現地付近に着く計算で家を出ればよい。
 で、早めに銀座に着いたので、まず三越デパートへ行き、中国人観光客の爆買い状況がどうなっているのか、見に行く。
 以前ほどではないが、中国語(だと思うけど)が飛び交っていて、日本人客は肩身が狭い感じ。
 日本人にとって、もはやデパートの時代は終わったということを感じる。
 一度、離れた客を呼びもどすのは容易ではない。
 何事もそうだが、坂道を転げ落ち始めると、加速度がついて止めることはできなくなる。
 いかにして坂道を転げ落ちないか。
 ここが勝負になると改めて思った。
 次いで松屋をのぞき、同じような感慨をいだきつつ、トイレに入る。
 ピッカピッカで、モダン。
 トイレの入口は一つで、途中で男女別に入口が左右に分かれている。
(うっかりすると、高速道路の入口と出口を間違えて逆走するように、女性用に入っちまうな。気をつけなければ)
 と自分に言い聞かせる。
 かつて私が若いころ、新宿の伊勢丹デパートで女性用トイレに間違って入ったことがある。
 そのトラウマが私にはあるのだ。
 愚妻からも、
「あなたは軽はずみなところがあるから、気をつけなさいよ」
 と、よく言われている。
 だから、男性用であることを念入りに確認して入り、用を足して外に出た。
 あとは出口に向かえばいいだけなので、おそらく気が緩んだのだろう。
 ノコノコ歩いて行ったところが、オバちゃんが鏡に向かって化粧をしているではないか。
(あッ!)
 出口でなく、女性用トイレに入っていた。
「失礼!」
 あわてて外へ出たが、もしこのとき「キャッ!」と叫ばれていたら、私は警察のご厄介になり、1時間も早く現地につきながら出講することはできなかっただろう。
 どんなに気をつけていても、私たちは常にアクシデントと二人三脚であることを再認識した次第。
 心せよ、心せよ。
 出講して、冒頭にこの私の失敗談をお話ししたが、果たして私の真意はどこまでみなさんに伝わっただろうか。
 それにしても、この一件で、トイレを間違えるというトラウマは、私から生涯消えることはあるまい。

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