後藤建二さんが、イスラム国に殺害された。
「なぜ、危険地帯に取材に行くのか」
ということが、テレビ番組で論議されていた。
紛争地帯の取材は不可欠であり、ここにジャーナリストの使命があることは言うまでもない。
だが、このことを、大手メディアの人間がしたり顔で口にするのを聞くと、
「じゃ、お前が行けよ」
と毒づきたくなる。
戦争現場や紛争地帯で命を落とすのはフリーのジャーナリストであって、大手メディアの高給取りは、安全地帯にいて「解説」をしているだけではないか。
若いころ、フリーライターとして、週刊誌を舞台に斬った張ったをやってきた私としては、何かにつけて「したり顔」をして見せる大手メディアには、いささかうんざりなのである。
一介の僧侶にすぎない私が、きらびやかに着飾ったエライ坊さんたちに懐疑的な気持ちをいだくのは、そんな「出自」と無関係ではないのかもしれない。
仏法を説くなら、市井という「紛争地帯」に飛び込み、命懸けで布教すべきではないのか。
何事においても、戒めるべきは「したり顔」だ。
連日、後藤建二さんのニュースに接しながら、そんなことを考えたのである。
「したり顔」を戒める
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