連日、テレビで北京五輪である。
私は観ない。
テーマ音楽が流れるとすぐにチャンネルを切り替える。
いちいちここでは例に挙げないが、中国批判をする一方で、メディアはよくぞハシャげるものだと腹立たしくなるからだ。
メディアもそこは気にして、
「選手には罪はない」
と、取ってつけたようなことを言う。
こういう二元論を「欺瞞」と言う。
平たく言えば、
「あれはあれ、これはこれ」
という便宜的な考え方だ。
ウィグル族弾圧をあれだけ報じ、中国に憤っておきながら、
「ニッポン、金メダル!」
とハシャぐ神経が私にはわからない。
「あれはあれ、これはこれ」
という二元論が通じるなら、世のなかに「悪」と呼ばれるものはなくなる。
『罪を憎んで人を憎まず』
とは、たしか孔子の言葉だと記憶するが、
「行為は憎むが、それを犯した人間までは憎まない」
という意味で、「主体」と「行為」の二元論になっていて、まさに「あれはあれ、これはこれ」の論理である。
たとえて言えば、万引きをした人間が捕まったとき、
「私が悪いんじゃない、この手が悪いんです」
と言って、自分の右手をピシャリと叩くようなものではないか。
勉強の優劣、身体能力の優劣を問わず、すべての子供が平等に幸せを享受できる社会を説く一方で、
「ニッポン、金メダル!」
とテレビが絶叫する。
これを批判すれば、
「子供の教育とオリンピックは別」
と言うのだろう。
いまの世のなか、「あれはあれ、これはこれ」のダブルスタンダードが余りに多すぎるのだ。