歳時記

雨ニモ、風ニモ、愚妻ニモ。

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 起床を早め、4時20分起きにした。
 切りが悪いので、私の性格からすれば4時にするところだが、6時間の睡眠を取るとしたら10時に寝なくてはいけない。
 空手の稽古が週3日あり、急いで帰宅しても9時30分。
 お茶の一杯も飲みたいし、風呂にも入らなければならないし、就寝勤行でお経も称えるとしたら、10時に寝ることは不可能。
 頑張って10時20分の消灯である。
 とすると、帰宅して就寝まで50分。
 入浴と勤行の時間を差し引けば、帰宅してから愚妻と顔を会わす時間はわずか15分足らずとなる。
 これには愚妻は大喜びで、
「ほらほら早く寝なさいよ」
 と、喜色を浮かべて急かすのである。
 愚妻は連日の温泉通い。
 そして寝酒に、沖縄から取り寄せる44度の泡盛をグビリとやっている。
 私は温泉にも行かず、酒もやらず、朝は早よから起きて勤勉なものだ。
「わしのような人間を、生き仏と言うんだな。手の一つも合わせんか」
 愚妻をたしなめると、
「なに言ってるの。若いころに遊び回ったツケが来ているのよ。飲みたいだけ飲んで、好き勝手して、私に迷惑ばかりかけて」
 カラリと泡盛オンザロックの氷の音をさせ、昨夜は延々と反撃してきたのである。
 このとき、なぜか唐突に、
「雨ニモマケズ、風ニモマケズ」
 という宮澤賢治の一節が脳裡をよぎる。
 そして、これに私は「愚妻ニモマケズ」をつけ加えたのである。

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