歳時記

庭の木と電動ノコギリ

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暖かい。
ポカポカ陽気である。
せっかくだから陽を浴びようと思い立ち、めずらしく庭に出た。

物置のそばに3メートルほどの木が立っている。
枝はない。
そう言えば、いつだったか、愚妻が脚立に上って枝を切り落とし、大変だったと自慢していたことがある。

見ているうちに、樹を切り倒すことを思いついた。
だが、そばに物置がある。
上から順に4回くらいに分けて切っていかねばなるまい。

「おい、脚立とノコギリを用意せよ!」
愚妻に命じて、さっそく切り始めた。

ちっとも作業が進まない。
「おい、電動ノコギリを出せ!」
「あるわけないでしょ!」

それでさっそく量販店に買いに行った。

係のオバちゃんに訳を話すと、
「木を一本切るだけのために買うんですか?」
あきれている。

「いけませんか?」
「いけなくはありませんけど、もったいないじゃないですか。それに」
私の顔をまじまじと見て、
「脚立から落ちて足でも折ると大変ですよ」

シルバー人材センターに依頼したほうがいいとのアドバイスであった。

帰途、愚妻がクルマの中でゲラゲラ笑っている。
「この人は何にもしないような顔しているから、きっと脚立から落ちると思ったのよね」

せっかく日光浴をしようと思ったのに、とんだ午後になってしまったのである。

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