歳時記

靴と草履

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法務でクルマを使用するとき、私は靴を履いて運転する。
一昨年からそうしている。

納骨法要で墓地に出かけたとき、駐車場で他宗派の若い僧侶が靴を履いて、
「ほう、安全運転を心掛けてたいしたものだ」
と感心したことがある。

で、帰宅してそのことを愚妻に話すと、
「あなたもそうしなさいよ。何でいままでそうしなかったの?」
いきなり非難されたのである。

「そんなことは、ひと言も言わなかったではないか」
「言わなくても、自分で考えることでしょう」

それ以来、法務で出かけるときは靴を履かされることになった。

近間だからと草履で運転しようとすると、
「ダメよ、靴を履かなきゃ!」
うるさいのだ。

「すぐそこじゃないか」
「すぐそこでも、ダメなものはダメ」
私に輪を掛け、言い出したら絶対に引かないのである。

だが、面倒なのだ。
家を出るときは靴下に靴。
斎場に着いたら、運転席で足袋と草履に履き替える。

そして斎場から帰るときは、その反対。
靴下と靴に履き替えるのだ。

交通安全のためにはそうするべきだと思い、ずっと実行しているが、法務に出かけるのも舞台裏は大変なのである

『ただ見れば 何の苦もなき水鳥の 足にひまなき わが思いかな』

天下の副将軍、水戸黄門さまの歌が脳裡をよぎる。
ノンキに全国を漫遊していても、舞台裏はきっと大変なのだろうと、同情するのだ。

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