歳時記

桜前線に思うこと

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 昨日、福岡市で桜が開花したという。
 2月以降は陽気に恵まれ、例年より4日早い開花となったと、福岡管区気象台が発表している。
 満開は今月末の見込みだそうだから、あと一週間ということか。
 地震も津波も、そして計画停電も無縁の世界で、季節がめぐれば桜は咲き誇る。
 これを花の哀しい性(さが)と見るか、すべてを呑みこんで淡々と移ろう大自然の営みと見るか。
 そんな中にあって、人間とはいったい何なのだろう。
 ふと〝青臭い〟自問が脳裏をよぎる。
 若かったころは、その答えを探し求めたが、いまは違う。
「水は低きに流れ、寿命は天命に定まる」
 そんな思いにとらわれるのである。
 私たちは、ものごとに対して、意味づけせずにはいられないでいる。
 理屈をふりまわすことでしか納得できないでいる。
 そんな人生に、そろそろ厭(あ)きが来たのだろうか。
 仏教に、如実知見という言葉がある。
「事実を事実としてあるがままに見る」
 ということだ。
「例年より4日早い開花」というのは人間から見た桜。
 桜はそんなことは一切おかまいなく、ただ咲いている。

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