日帰り温泉の食堂のオープンは11時。
コロナまでは8時だったので、ひと風呂浴びてから椅子席で仕事ができたが、今はそうはいかない。
しょうがないから、休憩室のリクライニングチェアで仕事をする。
ところが、この部屋は私には冷房が利きすぎる。
他の客は、半袖、短パンで寝ろがっている人も多いので、私が寒がりなのだろう。
そこで、自衛する。
休憩室に入ると、半袖Tシャツの上に七分のTシャツ、冬のフード付パーカーを着て、さらにウィンドブレーカー、靴下にズボン下まで穿いている。
「ちょっと、ヘンな人に見られるわよ」
愚妻が眉をひそめるが、寒いものは寒いのだ。
「知らん顔をしておれば、知り合いには見えない」
「声かけないでよ」
そんなわけで、ノートパソコンなど仕事関係と、寒さ対策の荷物が増えるため、バッグが2つになる。
これが面倒で、つい不機嫌になってしまう。
追い打ちをかけるように、
「どうして寒がりなのかしらねぇ」
愚妻が余計なことを言うのだ。
人間は、自分の価値観で人を評価する。
寒がりもいれば、暑がりもいる。
人の嗜好や行動、価値観は素直に認めるべきで、「なぜ」を問うなかれなのだ。