歳時記

いよいよ宣言解除である

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昨夜は久しぶりに近所のイタメシ屋へ出かけた。
これまで何度となく愚妻を誘ったのだが、
「ダメよ、自粛中なんだから」

恐い顔をしていたが、昨夜は試しに、
「支払いは私がする」
と言って声をかけると、
「あっ、そ」
すぐに予約の電話をしていた。

こういうリアリストでなければ、これから多難な時代を生き抜くことはできないだろうと、我が身に言い聞かせることだった。

近所の日帰り温泉も6月からこれまでどおり、早朝7時から始まるそうだ。
愚妻はスポンジ制のマスクを用意して、
「これなら湯船でも大丈夫だわ」
リアリストらしく、準備に余念がない。

「いっそのこと潜水用具がいいのではないか?」
嫌味を言ったが、
「それ、ちょっと大げさじゃない?」
真に受けていた。

緊急事態宣言の解除で、周辺がにわかにザワついてきた。
今後の生活ペースをどうしたものか。

今年も後半に入る。
嘆息しながらカレンダーを眺めていると、
「ぢっと手を見る」
と詠んだ啄木の歌が脳裡をよぎるのだ。

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