歳時記

外出は気疲れする

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今朝は久々の晴天である。
「おい、着物を干せ」
愚妻に命じる。
五月は衣替えで、袷(あわせ)から単衣(ひとえ)になる。

「コロナで外出自粛しているのに、着物なんか着て歩いたら変人だと思われるわよ」
ブツクサ言いながらも、言い出したらきかない私の性格を知っているので、渋々ながら干していた。

それを見届け、保護司の用事で久しぶりに外出。
行き帰りを含めて1時間強だったが、「出かける」というのは目に見えない時間がかかるものだ。

日時と行き先の再確認。
着替えもしなくてはならない。
約束の時間より少し前に到着しなくてはならない。
忘れ物はないか。
そして何より、「行く」ということに気疲れする。

外出自粛を続けていたので、今日はこれでリズムが狂ってしまった。

元の生活にもどったらどうしよう。
私はいまのままがいい。
世間とは真逆なのだ。

私は隠遁生活が性に合っているのかもしれない。

「できることなら、残りの人生は山中に籠もって隠遁生活をしたい」
愚妻に言うと、パッと顔を輝かせて、
「それ、いいわね」

そして、
「私に迷惑だけはかけないでよ」
と念を押す。

「大丈夫だ。洗濯ものは週一回、宅配便を探して家に送る。食料は週一回、そっちから送ってくれ。着替えは季節ごとに送ってくれればいい。山中の場合、ガス・電気、水道はどうなっているんだ? 引き落としはそっちでやってもらおうか」

愚妻は返事をしなかった。

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