歳時記

断食と着物

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昨日、思い立って「一日断食」をした。
理由はない。
いつものように気まぐれである。

「いいわねぇ」
愚妻は食事の支度も、間食の用意もしなくていいので喜んだ。

一日断食は翌日の食事が大事で、今日は軽いものにする。
「お粥をつくれ」
愚妻に命じると、
「私に面倒かけて、どうして断食なんかするのかしらねぇ」

昨日と真反対のことを言っている。
これが人間の身勝手さというものだろう。

今日は思い立って着物である。
理由はない。
いつものように気まぐれである。

「ちょっと、どこにも出かけないんだからパジャマでいいじゃないの」
愚妻が目くじらを立てる。

「愚か者。おまえは海水パンツを穿いて寝るのか。海水パンツは泳ぐどき、パジャマは寝るときに着るものだ」

巣ごもりの毎日だからこそ、生活はルーズになってはいけない。
いかに自分を律するか。
これが大事だと愚妻に説教をしたのだが、
「あなたは思いつきでやっているだけじゃないの」
聞く耳を持たない。

愚かにも、人生というやつは、弾みと思いつきで変わっていくことを知らないのだ。

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