沖縄在住の古武道仲間が急逝した。
脳梗塞ということだ。
53歳の若さだった。
「還暦まで生きればあとは余生、古稀まで生きれば言うことなし」
と、私など日ごろから口にしているが、若くして逝く人のことを思えば、寿命とは何とも厳しいものである。
過日、同世代の友人が、
「残りの人生を考えると、寝るのがもったいない」
と語っていた。
やりたいこと、やっておかなければならないことがたくさんあり、ノンキに眠ってなどいられないというわけだ。
このとき私も同感した。
だが、古武道仲間の急逝に接すると、「残りの人生」とは、何歳をゴールに見立てての引き算なのかということに気がついた。
人生に「残り」など存在せず、「残り時間を考える」は所詮、幻想と願望に過ぎないのである。
まさに仏教が説くごとく、私たちは「刹那」を生きているに過ぎない。
大事なのはここからで、「刹那の人生」をどうとらえるか。
これを人生観と言うのだろう。
仲間の急逝に、いろいろ考えさせられるのである。