居間のテーブルの上に、小型のテープレコーダのようなものが置いてある。
「何だ、これ?」
愚妻に問うと、
「災害用のラジオよ」
平然と言う。
「なんだ、ラジオか」
「テレビもついているの」
「テレビも」
「スマホの充電もできるの」
「充電も・・」
よくはわからないが、いろんなものがくっついているのだそうだ。
機器好きの愚妻のやりそうなことだ。
「で、どうやって使うんだ」
「これから説明書を読むの」
そして、今日で3日目。
「で、どうやって使うんだ」
「これから説明書を読むの」
私はもはや何も言わなかった。
災害ビジネスはこうして、愚妻のような無知な人間を食いものにするのだろう。
愚妻は避難場所も知らないのだから。