老いに抗(あらが)い、昨日の稽古は率先垂範で子供たちの指導をした。
技のポイントや意味など、実際に見せながら解説したところが、小3の男児が私のそばにやってきて、ボソリと言った。
「館長はお爺さんなのに、よく身体が動くね」
「お爺さん」という一語が胸にグサリ。
切り返しを身上とする私も、これには返答に詰まった次第。
子供たちから見れば、68歳は祖父の年代である。
跳んだりハネねたりする「爺さん」が、不思議なのだろう。
そのうち、労(いたわ)ってくれるに違いない。
そういえば昨年、私の両手を取って、
「館長、歩く練習をしましょうね」
と言って、介護のマネをした小学校高学年の女児がいた。
このときは笑って、私も一緒に楽しんだが、笑い事でない日はそう遠くないかもしれない。
「館長はお爺さんなのに、よく身体が動くね」
この一語が、いまも私の頭の中で響いているのだ。
「お爺さん」という一語
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