歳時記

「老い」と居直り

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 昨日、人間関係術について、プレジデント誌の取材を受けた。
 例によって、思うところを好き勝手に話したが、編集者氏もライター氏(女性でしたが)も、根気よく、真摯に聞いていただき、これには私のほうで頭が下がる。
 今日、産経新聞本紙のオピニオン欄に転載された拙稿で、記者時代のことについて触れてあるが、若いころは取材そのものが楽しかった私も、いまは億劫である。
 これは体力の問題ではなく、「興味」「関心」の問題だ。
 人生経験を経るにしたがって、
「世のなか、そんなもんだろう」
 と達観していくため、取材テーマや対象に興味や関心が薄れていくのである。
『年を重ねただけで人は老いない。理想を失う時に初めて老いがくる。歳月は皮膚のしわを増すが、情熱を失う時に精神はしぼむ』
 これは、よく知られたサミエル・ウルマンの『青春の詩』の一節だが、こういう詩を励みにすること自体、老いの証明であろう。
 理想を失い、情熱を失い、精神がしぼんで初めて見えてくるものがあるのではないか。
 ヘソ曲がりの私は、流れに棹ささずして、人生に居直るのだ。

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