歳時記

「触発」という財産

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 自己啓発に重点を置く若者向けの月刊誌が、昨日、取材に来た。
 道場の仕事部屋が狭いため、カメラマン同行の取材はいつも困る。
 照明スタンドなどあれこれ機材を持参するめため、スタンドを立てる場所がないのだ。
 だから道場へ椅子とテーブルを持ち出して取材を受け、話している間にカメラマンがシャッターを押していくことになり、たいていこのパターンである。
 部屋の広さというのは心理的な影響が大きく、広いと声が大きくなり、話す内容も力強くなる。
 反対に狭いと、話の内容は自然と細かいところに気を配るようになる。
 講演と同じで、壇上からしゃべれば、ヒソヒソというわけにはいかないし、狭い飲み屋で話せば、でかい声にはならず、話す内容はヒソヒソになるという次第。
 私は取材を受けるのが好きで、申し込みがあれば媒体を問わず、引き受ける。
 記者やカメラマンと雑談するのが楽しみだからだ。
 それぞれ業界の最新情報がわかるし、記者の質問の仕方などは方法論としてだけでなく、対人関係術を考える上で大いに参考になるのだ。
 編集者と雑談するのも楽しい。
「人間は人間によって触発される」
 ということが実感としてわかる。
 この触発された何かが、きっと私の財産になるのだろう。

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