一ヶ月ほど前、左掌中指の第二関節のところに米粒ほどのオデキ状のものができ、当たると痛いので、一週間ほど前、皮膚科で診てもらった。
切除することになったのだが、切除した痕(あと)を一応、縫合しなくてはならないと医者に言われ、咄嗟に脳裡をよぎったのは「温泉に浸かれなくなる」ということだった。
で、切除する前日の17日、奥秩父の日帰り温泉へ、あわただしく出かけた。
高速道路を使って片道約3時間余りだから、行って帰って約7時間の運転。
くたびれた。
その前の日は空手大会があり、夜は遅くまで懇親会。
朝起きると身体がだるく、本来なら日帰り温泉はパスするところだが、「明日から温泉に浸かれなくなる」という切迫感で出かけた次第。
奧秩父だけあって、山に囲まれ、風情があってよかったが、往復7時間となれば、「なんだかなァ」である。
だが、人生は面白がってナンボ。
そう思えば、これはこれでいいのだ。
思い残すことはなくなり、昨夕、オデキ状のものを切除。
ベッドに横たわり、中指を挟んで両サイドの指の股に麻酔注射。
麻酔の方法については、ウチの道場に来ている医者から聞いていたので、手順どうり。
「指、重い感じがしますか?」
「ハイ」
「では始めます」
と医者は言ったが、何となくイヤな予感。
メスを当てた(のだろうと思う。見えないから)。
その瞬間、
「痛テテテテ!」
私の場合、その量ではじゅうぶんに麻酔が効いていなかったのである。
急遽、追加麻酔となった次第だが、何しろ掌(てのひら)だから痛いの何ので、全身から汗。
実は、愚妻が「手術なんだからジャージで行きなさいよ」と言ったのだが、私は異を唱え、
「手術だからジャージでいいという考えは安易で間違っておる。手術だからこそ、きちんとした服装をすべきだ」
と諭し、白いワイシャツにベスト、スラックスで行ったのである。
おかげでワイシャツは汗を吸ってビッショリ。
帰宅して愚妻にわけを話すと、
「だからジャージにしなさいと言ったじゃない」
勝ち誇ったように言う。
一理あると思わないでもないが、
「これは、たまたまのアクシデントであって、わしの考えは間違ってはおらん」
癪なので、愚妻の言い分など頑としてしりぞけたのである。
それにしても、あわただしい一週間であった。
皮膚科で切除
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