歳時記

世のなか「一長一短」

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「寝ては夢、起きては現(うつつ)幻(まぼろし)の」
 そんな言葉が、唐突に脳裏をよぎる。
「寝ては書き、起きては現 また書いて」
 そんな日々である。
 何冊か同時進行しているので、自宅の仏間に資料やゲラが乱雑に広げてある。
「寝ては書き、起きては書き」で仕事をするには、道場の仕事部屋より、和室のほうがよい。
 資料を広げられるし、疲れたら横になれるし、風呂にも入ることができる。
 だが、正座していると足が痺れる。
 あぐらをかけば腰が痛くなる。
 腰が痛くなれば、マッサージに行く。
 マッサージに行けば、仕事の時間をロスする。
「家にいるとうるさいわね。道場で仕事をしなさいよ」
 と愚妻に嫌味も言われる。
 世のなか、一長一短。
 うまくいかないものだと、我が身をもって悟るのだ。

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