歳時記

明日は入院である

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 明日、鼻の手術で入院である。
 鼻茸(たけ)と、ついでながら副鼻腔炎の手術だ。
「無理にやらなくてもいいですが、やるだけの価値はあると思います」
 と言われ、
「じゃ、やりますか」
 と、気軽に返事した結果である。
 相手が女医さんでもあり、
「やるだけの価値はある」
 とおっしゃってくださっているのに、
「じゃ、いいです」
 とは言えないではないか。
 そんなわけで、一応、9日間ほど入院することになったのだが、単行本の〆切が続くため、入院が決まった6月以降、怒濤の忙しさ。
 なんとか昨日、入院前の原稿を渡した次第。
 それでも次の〆切があり、病院にはパソコン持参となる。
 そういえば8年ほど前になるが、忙しくて過労でダウン。
 一週間ほど入院したが、そのときもパソコン持参だった。
 仕事を頑張っているわけではなく、面白いからやっているに過ぎない。
 でなければ、私のようなワガママ人間が、仕事などやるわけがない。
 要するに、壮大な「遊び」なのだ。
 言い換えれば、原稿に追われれば追われるほど、遊びを楽しんでいるということになる。
 いやいや原稿だけでなく、人生そのものが遊びだと思っている。
 遊びに目くじらを立てることほど愚かなことはあるまい。
 ただ、遊びに忙しすぎて、今回、どこをどう手術して、何がどうなるのか、女医さんから夫婦して説明を受けたが、よく覚えていない。
「おい、わしの病名は正式に何と言うのだ」
 愚妻に聞くと、
「さあ、私もよくわからないのよ」
 私の手術より、畑のトマトが熟れすぎているのではないかと、そのことをしきりに気にしている。
 愚妻は間違いなく長生きすることだろう。
 長生きと言えば、このところ葬儀会社から、互助会の案内電話がやたらかかってくる。
 葬儀は、高齢社会において成長産業だとか。
 でも、死ぬのに金がかかるなんて、考えてみれば妙な話ではないか。
 葬式離れは加速して当然なのである。
 坊さん連中はノーテンキに構えているが、時代は激変しつつあるのだ。

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