小保方さんの騒動で、佐村河内さんがすっかりかすんでしまった。
マレーシア航空機事件も世間の耳目を集めている。
「人の噂も七十五日」
と言うけれど、めまぐるしい現代にあっては、人の噂も、せいぜい一ヵ月といったところか。
「悪評」を立てられても、聞き流していれば、自然と消えて行くものを、
「それは違う!」
とムキになって反論すれば、火に油ということになる。
佐村河内さんも、ゴーストライターを名誉毀損で訴えることなどせず、小保方さんの騒動をこれ幸いと、次の人生に備えて手を打つべきだろう。
反論せず、「聞き流す」という知恵は、ずいぶん古くからある。
いまから七百年前、十四世紀前半に書かれた『源平盛衰記』に、
《人の上は百日こそ申すなれ》
という記述が見られる。
同書は源氏、平家の盛衰興亡を記したもので、
「人の身に起こった出来事など、百日もあれば忘れられてしまうものだ」
と、諸行無常について説いているのだが、さらに一歩踏み込んで読み解けば、
「世間の評判や記憶は移ろいやすいものだから、そんなものに一喜一憂するのはおろかなことだ」
ということになるだろう。
東から太陽が昇り、西に沈んだら一日の終わり。
人生とは、この積み重ねに過ぎない。
あたふたすることはないのだ。
人の噂は聞き流せ
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