人間関係で、コトを有利に運びたければ、「言質」を取ることだ。
「友達が困っているときに、お金を貸さないなんて、人格を疑っちゃうよな」
「まったくだ」
「お金、貸してくれよ」
「えッ!」
これでいい。
ところが、この手の内がバレで、愚妻が最近は〝返事〟をしなくなった。
これまでは、
「おい、この着物には、帯はどんな色がいいかな」
「濃紺がいいんじゃないの」
「そうか。では、おまえのアドバイスにしたがって、濃紺をネットで注文しよう。支払いは頼んだぞ」
こうしたことが何度か続くうちに、愚妻は返事をしなくなっただけでなく、
他の人間に転化する知恵を身につけてきた。
「おい、長襦袢は、なぜ前幅が後ろ幅よりサイズが大きいのだ」
「さあ、どうしてかしらねぇ。カエルさんに聞いてみたら」
「カエルさん」というのは、以前、このブログでも触れたが、和服に関しするエキスパートで、彼のHPはとても面白く、ためになる。
http://bakagaeru.obihimo.com/index.html
わからないことがあれば、メールで問い合わせれば、親切丁寧に教えてくれるのだ。
このことを、愚妻に話したところが、着物のことで何かあるごとに、
「カエルさんに聞いてみたら」
と、体(たい)をかわすようになったという次第。
どんな人間にも知恵が備わっているのだということを、私は改めて噛みしめているのである。
「言質」と「知恵」
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