やれやれ、やっと愚妻のご帰還である。
私にとっては長く辛い日々であった。
駄犬のトイレマット(と言うのかどうか知らないが)、小便するたびにそれを取り替えたり、エサをやったり。
一方、感動の体験もあった。
天気がいい日は、思い立って雨戸を開けながら、
(おッ!)
と思った。
この家に住んで30年。
雨戸を自分で開けたのは初めてであることに気がついたのである。
娘が心配して食べ物を持ってきてくれたので、
「30年にして初めてだぞ」
と報告すると、
「バカみたい」
そう言い置いて、さっさと帰って行った。
途中駅の乗り換えで、愚妻から電話。
駅に迎えに来いとのこと。
「自分で帰ってこい」
と言おうものならエライことになる。
ここは大人の知恵で、
「ハイハイ」
と機嫌よく返事して迎えに行った。
おかげで、愚妻はすこぶる機嫌がいいのだ。
愚妻の帰宅
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