歳時記

リスマスツリーを飾る

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 ついに今日、クリスマスツリーを道場に飾った。
「どうして飾らないの?」
 と、4歳の孫娘が連日、愚妻を責め立てたからだ。
 最初のころは、
「館長はクリスマスツリーが嫌いなんだって」
 と愚妻も鷹揚(おうよう)に構えていたが、これが連日のごとくになると、愚妻もうんざりして、
「ちょっと、ツリーくらい飾ったらどうなの!」
 私を一喝。
 断腸の思いでツリー飾りを許可。
 坊主にあるまじき行為に、私は〝踏み絵〟に足を乗せたような心境であった。
 心労のせいか、今日の夜半から咳が出始め、ノドが痛くなってきた。
 きっと、ツリー飾りの許可を出したせいに違いない。
 年末に〆切があって、これからが追込みだというのに困ったことになったではないか。
「孫が悪い」
 愚妻に文句を言うと、
「あの子に直接そう言えばいいじゃない。嫌われるわよ」
 駄犬の〝マック爺さん〟にさえ、このごろシカトされる私なのだ。
 61歳になって孫娘に嫌われたらどうするのだ。
 私の脳裏を「泣き寝入り」という言葉がよぎるのである。

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