京都の寺めぐりは歩く。
だから今回は、特に歩きやすい靴を買い、ついでにジーンズも買った。ダウンジャケットも、軽さ一番ということで、わざわざユニクロのやつを夫婦して買った。
ところが、寺をめぐるうちに、右足の親指の付け根が痛くなった。
靴は申し分ないのだが、痛風で痛くなった部位が疼(うず)き始めたのである。
愚妻を見やると、これも足を引きずっている。
持病の膝痛が出たようだ。
急遽、寺めぐりは中止。
愚妻のステッキを購入するため、デパートへ。
「京都見物していたら、女房の膝が痛くなってねぇ」
若い店員さんに言うと、
「それは大変ですね」
と、気の毒そうな顔。
「実は去年も女房の靴が壊れてねぇ。やっぱりここで靴を買ったんだ」
「それはそれは」
「ちょっと、余計なこと言わないでよ」
愚妻がステッキの具合を確かめながら、私を睨みつけた。
午後から、愚妻はステッキをつきつつ、近間の寺をまわって、早々にホテルへ引き上げた次第。
「歳をとったらのんびり寺めぐり」
とよく言うが、とんでもない。
歳をとったら寺めぐりなどできないのだ。
このことだけは、めずらしく夫婦して意見が一致したのである。
寺めぐりは楽じゃない
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