歳時記

「視野が狭い」というまやかし

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「言葉の達人」というのは、どこにでもいるものだ。
 九州電力玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)の再稼働を巡る「やらせメール」問題で、当時の九電佐賀支店長が、こう釈明した。
「運転再開をしたいという焦りで視野が狭くなっていた」
 うまい。
「視野が狭くなっていた」
 というは、「現象」を述べたもので、
「私が悪かった」
 と謝っているわけではないのだが、何となく否を認めたニュアンスがある。
 この言葉は使えるではないか。
「ちょっと、この涼しいのに、どうしてエアコンつけてるのよ」
 先ほど、愚妻が文句を言うので、さっそく切り返した。
「スマン、スマン。大型台風が来る焦りで、視野が狭くなっていた」
 愚妻はキョトンとしていた。
 なるほど、この言葉は使える。
 原発関係の方々は、さすがに詭弁がうまいのである。

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