日日是耕日

俗にありて、煩悩を耕す365日

歳時記

俳句の面白さは「一語」にあり

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 芭蕉の有名な俳句。
『古池や蛙(かわず)飛込む水の音』
 門外漢の私は、この句のどこがいいのかとこれまで思ってきたが、たまたま雑誌でこの句の解説を読んで、
(なるほど)
 と、感心した。
 この句が表現しているのは、
「古池に蛙が飛び込んで水の音がした、という句ではない。蛙が水に飛び込む音を聞いて、芭蕉の心に古池の面影が浮かんだという句なのである」
 ということだった。
 さっそく、芭蕉の立場になって、この句を詠んだときの心境になってみた。
 目をつむり、蛙が飛び込む水の音を想像する。
 いや、想像しようとしたが雑念がよぎる。
(「蛙」の代わりに「年寄り」だったらどうか?)
『古池や年寄り飛込む水の音』
 これはちょっと悲惨である。
 と、唐突に「愚妻」という言葉が脳裏をよぎる。
『古池や愚妻飛込む水の音』
 ウーム、これをどう解釈するか。
「古池に愚妻が飛び込んで水の音がした、という句ではない。愚妻が水に飛び込む音を聞いて、私が思わず、池にサイフでも落としたか?」
 と腰を浮かしかけたときの心境を詠んだものになるだろう。
 俳句というのは、「一語」を入れ替えるだけで、まったく別ものの、異質の世界が表現できるのだ。
 面白いではないか。

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