歳時記

私の「哲学の坂道」

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 今朝、自宅から歩いて道場の仕事部屋へ向かいながら、
「あれも、これも」
 という言葉が、唐突に浮かんできた。
「あれ」は遠い位置にあるもので、「これ」は近い位置にあるものだ。
 これを《時間》に置き換えて考えれば、「あれ」は「未来」、「これ」は「現在」ということになる。
 つまり「あれも、これも」と求めることは、
「未来にある願望の成就を求め、そして目前にある願望の成就をも求める」
 ということになる。
「未来」が先で、「現在」があとなのだ。
(ハハーン、ここに人生のつまずきがあるんだな)
 と考えたのである。
「あれも、これも」は、「これも、あれも」でなければならない。
 すなわち、
「目前のことをしっかり考え、しかるのち、未来に思いを馳せる」
 ということが大切なのではないか、という結論に達したのである。
 京都市左京区、南禅寺付近から銀閣寺までの小径を「哲学の道」という。
 哲学者・西田幾多郎が、この道を散策しながら思索にふけったことからこの名がついた。
 私の自宅から道場まで、だらだらと坂を下ってわずか数分だが、これからは、この道を「哲学の坂道」と名づけようと、ひそかに思ったのである。

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