『人の噂も75日』という諺(ことわざ)がある。
「世間があれこれ噂をするのも一時的なもので、しばらくすると自然に消えてしまう」
という意味だ。
誰しも自分のことを悪くいわれれば反論したくなるが、ムキになって反論したり否定したりすると〝火に油〟になって逆効果。
「だから噂なんか聞き流しなさい」
と、この諺はさとすのである。
ちなみに「聞き流す」という知恵は、ずいぶん古くからある。
いまから七百年前、十四世紀前半に書かれた『源平盛衰記』に、
《人の上は百日こそ申すなれ》
という記述が見られる。
同書は源氏、平家の盛衰興亡を記したもので、
「人の身に起こった出来事など、百日もあれば忘れられてしまうものだ」
と、諸行無常について説いているのだが、ようするに、
「世間の評判は移ろいやすいものだから、そんなものに一喜一憂するのはおろかなことだ」
ということである。
昨日、東京電力は、福島第1原発事故の収束に向けた工程表の改訂版を公表した。
聞いていて、内容がよく理解できない。
まさか『人の噂も75日』で、〝逃げ切り〟を図ろうとしてるわけでもあるまいが、
「なんとなく誠意がないな」
という印象を東電に抱く。
大震災から、今日で68日が過ぎ、あと一週間で「75日」を迎える。
東電と「人の噂も75日」
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