歳時記

コスモスの鉢植えを愚妻が購入

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 私はコスモスが大好きである。
 だから愚妻にコスモス買ってくるよう命じておいたのだが、そのことをすっかり忘れていた。
「ちょっと、玄関のコスモス見た?」
「何の話だ」
 愚妻の怒るまいことか。
 だが、私が悪いわけではない。
 まさか一度の命令で、愚妻が素直に買ってくるとは夢にも思わなかったからである。
 そのことを指摘し、
「おまえが悪い」
 と正論を述べたのだが、愚妻は頑として耳を貸さず、私が身勝手だと非難するのである。
「わかった」
 私は戈(ほこ)を納め、
「で、庭のどこに植えるつもりだ?」
 話題を転じると、
「それそれ、それなんだけど」
 愚妻の機嫌はコロリと直った次第。
 かくのこどし、人間関係術は夫婦において磨かれるのだ。

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