私の空手道場の隣が居酒屋である。
酒をやめてから顔を出すことはなくなったが、日中、店主と顔を合わすと、
「不景気で、まいっちゃいますよ」
と、こぼす。
この居酒屋は人気で、いつも客が入っているのだが、それでも客が減ったと店主は嘆くのである。
ビールの業界団体の調査によると、居酒屋などに寄らず自宅で晩酌を楽しむ「家飲み派」が86・2%に上るそうだ。
これは、調査を始めた4年前より10ポイントも上昇。サラリーマンの節約志向が改めて浮き彫りとなったと、メディアは報じている。
このことは、見方を変えれば、10人に1人しか居酒屋などに寄らないということだ。
隣の店主が嘆くのはもっともだろう。
節約志向といえば、ユニクロが大躍進である。
躍進の要因について、テレビで某コメンテーターが「良質、安価、ハイセンス」をあげていたが、そうだろうか。
ついこの間まで、私たちにとって商品の価値は「高価格」にあった。
どんなに商品がよくても「安価」ものはカッコ悪く、粗悪品でも「高価」であれば、それが価値だった。
だからユニクロの躍進は「良品を安価で」ということではなく、不景気を引き金にして、たまたま私たちの価値観が節約志向になっただけではないか。
景気がもどれば、価値観は再び「高価格」にもどっていくだろう。
金融バブルに懲りたはずのアメリカで、再び同じことが繰り返されようとしている。
戦争は人類が誕生したころから、延々と繰り返されている。
人間は、実は学習機能を持たない「懲りない生き物」なのである。
人間は〝懲りない生き物〟である
投稿日: