調べごとがあって、中国古典の『菜根譚(さいこんたん)』を読んでいたら、
『花は半開を看(み)、酒は微酔(びすい)に飲む』
という一節があった。
「花を見るのなら五分咲きを、酒を飲むなら微酔(ほろよ)いで盃を置くのがよい」
という意味から転じて、
「何事も、ほどほどをもって最上とする」
という教えだ。
耳が痛いね。
私たちは何事もトコトンまで貪(むさぼ)ろうとする。
食事なら、満腹になるまで箸を置こうとしない。
健啖家といえば聞こえがいいが、要するに、ただの大食漢に過ぎず、犬やネコと同じなのだ。
名誉しかり、出世しかり、財貨しかり、幸福しかり。
ほどほど手に入ればそれ以上を求めるべきでないにもかかわらず、人間は満腹になって動けなくなるまで求め続ける。
偉そうなことを言えるような立場ではないが、この歳になってようやく〝半開〟と〝微酔〟の説く意味が、実感として理解できるようになってきた。
「ほどぼとに、ほどほどに」
自分に言い聞かせ、実際にそうやってみると、気分はとても爽快なのである。
何事も〝ほどほど〟をもって最上とする
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