歳時記

ミラーイメージの法則

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 スポーツ心理学に「ミラーイメージの法則」というのがある。
 ひと口で言えば、
「相手に向けて発した気は、自分に返ってくる」
 ということで、指導者の心得として用いられる。
 たとえば、対戦相手のミスを願ってゲームをするのはマイナス感情であり、マイナスの気を発すると、自分の能力も低下するというものだ。
 あるいは自チームの選手がミスをしたときに、
(あの野郎、しょうがねぇな)
 とマスナスの気を発すると、自チームのポテンシャルは落ちてくる。
 だから、野球の試合などで仲間がミスをすると、
「ドンマイ、ドンマイ」
 と励ますのは、選手はそこまで意識をしていないだろうが、ミラーイメージの法則にかなったことなのである。
 このことはもちろん、スポーツに限らない。
 たとえば私は愚妻のことを悪く言うが、これはマイナス感情であり、私自身に悪影響を及ぼしているのだ。
 最近、仕事の能率があがらないのは、ミラーイメージの法則からいって、愚妻の悪口のせいだと気がついたのである。
 人の悪口を言ったり、意地悪な感情を抱いたり、心の中で罵声を浴びせたりするのは、ミラーイメージの法則によって全部、我が身に跳ね返ってきているのだ。
 こうしてみると、やはり素直で、清い心の持ち主がハッピーになるということなのだろう。
 反省し、
「よし、わしは仏様のような人間になる」
 と愚妻に告げると、
「あら、死んじゃうの?」
 と弾んだ声をあげた。
「バカ者。〝仏様〟になるんじゃない、〝仏様のように〟なるんだ」
 せっかく愚妻の悪口を書くのはよそうと思っていたのに、書かないで腹に溜めるとストレスになってしまう。
 だから書いて、ストレスを発散させるのだ。
 そして、ストレスを発散すればするほど、ミラーイメージの法則によってストレスはますます溜まっていくという〝アリ地獄〟に私は落ちていくに違いない。
 
  

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