歳時記

「今の人生でよし」という生き方

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 昨日から顎の右側が痛い。
 理由はわからない。
「おい」
 と、女房に症状を訴えた。
「つらい浮き世に、歯を食いしばって生きていたら顎が痛くなった」
「バカなこと言ってないで、〆切があるんじゃないの」
 自分の意志で結婚したのは確かだが、30余年という歳月は、女房の体型だけでなく、心をも変えていくんですな。
 諸行無常――「この世のあらゆるものは、すべて移ろい行く」というお釈迦さんの教えが、実感を伴って胸にズシンと響くのである。
 人生を長く生きていると、「諸行無常」ということが、まさに実感として理解できてくる。
 いろんな人と出会い、別れ、首尾よくいけば有頂天になり、ドジを踏めば落ち込む。
 そんな半生を振り返れば、一喜一憂した自分が可笑しくもあり、恥ずかしくもあり、
「たかが人生、いかほどのことがあろう」
 という心境になるのだ。
 そんな私だから、若い子から人生相談されると、うまい回答にならない。
「今のままじゃ、いけないと思うんですが、何をやっていいかわからないんです」
 こんな相談が多いのだが、私の回答は、
「今ののままでいいじゃないの。どこが悪いのよ」
 たいてい若い子は落胆する。
 だが、私は本気で「今のままでいい」と思っている。
 それが幸福な境遇であれ、不幸であれ、人生が「無常」である以上、常に「今のまま」でいいのだ。
「今のまま」という不連続の「今」が人生であり、水が低きに流れていくように、自分の意志とかかわりなく、人生は定まるところに定まるのである。
 私のこのホームページの「道は目前にあり」というタイトルは、
「だた、目前の道をひたすら歩き続けよ」
 という意味だが、「目前」という言葉には「今のままでいい」という意味もを込めているのだ。
「今」という現状をすべて肯定的にとらえること。
 人生の要諦のように、私は思うのである。
 

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