歳時記

橋下知事に学ぶ詭弁のテクニック

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 橋下徹・大阪府知事が、「出産・子育て支援事業」の凍結を表明したそうだ。
 橋下知事は私にとって何の関係もなく、また私は大阪府民でもないので、公約違反だと目くじらを立てるつもりはないし、大阪府民にしても、圧倒的支持で府政の舵取りをまかせたのだから、公約違反だと怒ることもないだろう。
 そういう意味で、橋下知事については興味はないのだが、処世術ということから観れば、これが大変参考になるのだ。
 周知のように、橋下知事は「子供の笑顔」をキャッチフレーズに選挙を戦った。校庭の芝生化、保育施設の整備など、出産子育て支援を中心とした17の重点事業を掲げて当選した。
 ところが、いざ予算の段階になると、
「財政再建が第一。大阪府が転覆してしまっては元も子もない」
 と語り、2月議会で審議する新年度当初予算案には盛り込まない考えを表明したのである。
 この論理ですね。
 この論理を応用すれば、自分の言(げん)を頬っかむりして、相手を言いくるめることができるのだ。
「確かに私は、あのときそう言った。それは否定しないし、いまもそう思っている。だが、いまは会社の非常時なのだ。辛抱してくれ」
「そりゃ、オレだって家庭サービスをしたいさ。でも、安定した収入があっての家庭じゃないか。だから辛抱してくれ。会社、クビになってもいいのか?」
 これらを踏まえて、
「財政再建が第一。大阪府が転覆してしまっては元も子もない」
「府民に迷惑をかけると思うが、府政の大改革に必要なプロセスとして理解と協力をしてほしい」
 という橋下知事の言葉を読み返して、みなさんはとう思われるだろうか?
(うまいこと言って)
 と、私は思うのである。
「将来のためじゃないか。いまは辛抱だよ」
 誰もが否定できないテーマをブチ上げて〝我田引水〟をはかる。自己正当化など、たやすいことであることを、橋下知事は教えてくれるのである。

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