歳時記

「未成年の飲酒」がニュースになる愚かさ

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 驚いた。
 悪い冗談だと思った。
『八千代高女子柔道部 顧問の教師を厳重注意』という記事である。
 去る7月、千葉県立八千代高・女子柔道部のインターハイ出場が決まり、激励会が船橋市内のホテルで開かれたときのこと。顧問(男性教諭)が会場で今年3月に卒業した元部員(未成年)にビールを飲ませ、けしからん――という内容だ。
 保護者が学校に指摘してわかったそうで、
「二度と同じことがないように指導していく」
 という校長のコメントが載っている。
 なるほど、未成年にビールを飲ませたのは――厳密に言えば――よくない。
 ならば、大学の新入生歓迎コンパはどうなる。
 日本全国、ン千、ン万のサークルで、未成年が賑やかに飲んでいるのだ。
 高校教諭という立場上、ビールをついだのがマズイというなら、大学の新歓コンパはどうだ。顧問はたいてい教授、助教授クラスで、彼らが未成年に酌をしているのである。
 私は、高校を卒業した「未成年」にビールをついだことはよくないとしても、それがわざわざニュースとして報じられること自体を憂う。
 教育現場を見るがいい。
 かわいそうに、神戸の私立高校で、いじめを苦に校舎から飛び降りて自殺しているではないか。
 いじめによる自殺があとをたたないではないか。
 この現実を、私たちはどう受け止めるのか。
 学校は、教師は、保護者はいったいに何をしているのか。
 メディアは何をしているのか。
 高校を卒業した「大人」にビールをついだことをあげつらい、校長、教諭に謝らせることよりも、メディアはもっとほかにやるべき急務があるのではないか。
 そして、親だ。 
 教師に「教育」を求める一方で、体罰がいけない、差別がいけない――と、親は権利を主張し、メディアもそれを後押しする。教師の手足をがんじがらめに縛っておいて、「さあ、走れ」とケツを叩き、走らないと言って非難するのである。
 それでいいのだろうか。
 
 教育の荒廃は、親にあると私は思う。
 社会にあると思う。
 新歓コンパの一方で、卒業生にビールをついだ教師がニュースとなり、非難される社会が、果たして健全と言えるのだろうか。
 私は首を傾げるばかりである。

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