歳時記

石原知事の〝天にツバする〟檄

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 新党「たちあがれ日本」の応援団を自認する石原慎太郎東京都知事が、パーティーの挨拶で、吼(ほえ)たのだそうだ。
 曰(いわ)く、
「私の弟分の平沼なんて脳梗塞で倒れ、与謝野君だって咽頭ガンですよ。それが死を覚悟でやってるんだ。本当に死んでも死にきれないんだ」
 さすが〝憂国の志士〟である。
 さらに、その3時間前に都庁で行われた定例会見では、
「国を憂うのは誰だって憂うものですから。今度の(新党結成のメンバーも)みんな老人。じゃ、若いやつは何してんだ? みんな腰抜けじゃないか。僕なんか戦争の経験、体験あるけど、その人間たちは本当にこのまま死ねないよ」
 メディアの中には、久しぶりの“石原節”だとヨイショしているが、私は、
(なんだかなァ)
 の思いである。
 だって、
「若いやつは何してんだ? みんな腰抜けじゃないか」
 という前に、
(お宅のご子息たちはどうなんだ?)
 と思ってしまうからである。
 元国交相の石原伸晃、さらに落選中とはいえ次期選挙を虎視眈々とうかがう自民党・石原宏高なんて「若いやつ」がいるじゃないですか。
 論理的には、彼ら二人は「腰抜け」ということになってしまうんだな。
「いや、息子といえども個人の人格は違う」
 という理屈は通らない。
 だって彼らは「石原ファミリー」として売ってきたからである。
 選挙のときだけ「石原ファミリー」で、リスキーなことは「個人の人格」というのは詭弁というものだ。
 わかりやすく言えば、芸能人が、結婚するときはメディアをさんざん利用しておいて、離婚したときは、
「プライバシーですから」
 と言って逃げるのと同じなのである。
〝憂国の志士〟も結構だが、「若いやつは何してんだ?」と吼えるのは、〝天にツバする檄(げき)〟のように、私には思えるのである。

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