先週のこと。
夕方、日帰り温泉に出かけ、炭酸風呂に浸かっていた。
ぬるめの温度なので、原稿のことなど考えごとをするときは、ここに長く浸かっている。
で、先週、あれこれ考え事をしながら浸かっていたが、いいアイデアが浮かんできたので、
(よし!)
勢いよく湯船から出たところが、頭がクラクラ。
視界が急速に暗くなる。
(ヤバ!)
近くに並べてある休憩用のチェアに坐るべく2歩3歩。
足もとがフラつく。
チェアに手を伸ばしたところが、チェアはプラスチック性なので軽いため、バタンと倒れてしまった。
手を掛けた私も当然、尻餅をついた。
と、通りかかったアジア系のおっさんが、
「ダイジョウブ?」
気づかってくれた。
幸いにも意識はハッキリしていたので、チェアを立て、坐ってから、
「ダイジョウブ」
と、なぜか私もカタコトの日本語になり、見栄を張ってニッコリ笑顔。
壁の時計を見ると、私は炭酸風呂に30分浸かっていたのである。
前々から長風呂したとき、立ち上がるとクラクラしていたので気をつけてはいたが、30分もたっていたとは気がつかなかった。
たぶん考え事をしながらウトウトしていたのだろう。
愚妻に注意をうながす意味で、帰宅して尻餅をついたことを告げると、
「まあ、恥ずかしい!」
これが第一声だった。
まず私の身を案じるべきであるにもかかわらず、「恥ずかしい」である。
こんなことでいいのか。
憤然と注意すると、
「あなたが勝手に尻餅をついたんでしょ。気をつけなさいよ」
確かにそうではあるが、
「ダイジョウブ?」
と、気づかってくれたアジア系のおっさんのやさしさに改めて感謝した次第である。