このところ小学生を相手に組手の稽古をしている。
私が相手だと、子供たちが嬉々としている。
遠慮はいらないし、私がムキになるわけでもない。
しかも、
「痛テテテ……」
と、ちょっとばかし演技しつつ相手をする。
だから楽しいのだろう。
ところが、おかげで先週も、そして今夜も、私は左手の指を捻挫した。
子供の蹴りを受け損なったのだ。
というのもの、きちんと受けると相手の足が痛くなってしまうからで、いかにやさしく受けるかを考えるのだが、子供たちはそうと知らないから不意をついてバンバン攻めてくる。
それで、つい受け損なってしまうというわけである。
これもそれも、私の人格が丸くなったせいだというなら結構なことだが、現実はそうでもない。
道場の若い者にはつい怒鳴ってしまうし、保護観察の若者の態度が気にいらなければ叱りつけてしまうのである。
もともと短気で、瞬間湯沸かし器。
気がついたら相手をブン殴っていた、ということも若いころはよくあった。
二十代のころは、酔っぱらってどこで誰とケンカしたか、血だらけになって帰宅することも、再三ならずあったと、愚妻はいまもチクチク言って私をいじめる。
そんな私が、子供たちと稽古するのが楽しいのだ。
(この子たちには未来がある)
そう思うだけで、相手をするのが楽しいのだ。
齢を重ねるとは、そうい心境になることなのだろうか。
捻挫した痛みを指に感じながら、ふとそんなことを思うのである。
子供と稽古していて指を捻挫するのだ
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