昨日午後、早々に着物を直しに行って来た。
コートの用途を店の人に説明し、デザインやら何やらを打ち合わせをし、店を出ようとしたら、愚妻が何やら店の商品を手に取って思案している。
マスクである。
「これ、どうかしら?」
私と自分用に2つ見せた。
「わしはいらん」
と言ったのでは愚妻の神経を逆撫ですることになる。
マスクには異様に関心を持っているのだ。
まして、私のために2時間をかけて来た。
気分を損ねるとブーブー非難が始まるだろう。
帰途の車中は〝針ムシロ〟になってしまう。
「おっ、いいな」
私は笑顔で賛意を表した次第。
そして帰途のクルマの中で愚妻が買ったマスクを装着し、私も装着させられる。
「あら、これは掛けやすくていいわ。どう?」
愚妻が賛意を求め、
「おっ、いいな」
これまた私が笑顔で賛意を表すると、
「ちょっと停めて!」
何事かと思ったら、引き返してもう何枚か買うと言うのだ。
冗談じゃない。
そんな面倒なことができるか。
だが、機嫌を損ねるわけにはいかない。
「電話をかけて取り置きしにておいてもらい、コートを引き取りに来たときでいいんじゃないか」
穏やかに説得し、納得させた次第。
居間のテーブルには、市販のマスクのほか、愚妻の手作りマスクが何枚も置いてある。
作るたびに「これ、どう?」と掛けさせられ、
「あなたが掛けると、どうして強盗みたいになるのかしらねぇ」
ブツブツ言いながら、新たなマスクを作るのである。
こうした日々がいつまで続くのか。
コロナ禍の終息を、私は切に願うのだ。