歳時記

損保、生保のCMを観て考える

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 損保と生保のテレビCMが一日中、流れている。
 イチャモンをつけるわけではない。
 ただ、観ていて〝違和感〟を覚えるのだ。
 それが何であるのか考えているうちに、ハタと思い当たった。
 どのCMも、
「ほら、こんなにみなさんのためを思っているんですよ」
 と〝善意だけ〟を強調していることが、何となく胡散(うさん)くさく感じられるのである。
「みなさんため=我が社の得」ということを視聴者は先刻承知であるにもかかわらず、「我が社の得」という部分を頬っかむりし、「みなさんため」だけを強調するから、
(なんだかなァ)
 と違和感を覚えるのである。
 違和感を覚えつつ、このことは、私たちが人に忠告したり、励ますときに留意すべきことだろうと思った。
「キミのためを思うからこそ叱っているんだ」
「お勉強しなさい。あなたのためなのよ」
 確かにそのとおりだろうと相手は思いながらも、
(でもなァ)
 と釈然としない気持ちがするのは、「あなたのため=私のため」という図式が漠然と見えているからだろう。
 どう叱り、どう励ますか。
 損保、生保のCMを目にすると、私はそのことを考えるのである。
   

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